一瞬びっくりして固まってしまった。
キキとマリクは眠そうな目をしながらも近づいてきた。
「オハヨウ!」
「え、あ、あぁ、おはよう。」
何でこんなところにこんな時間に?!
はたから見てもそれが丸わかりの顔をしていたのだろう。
質問もしていないのにキキが答えてくれた。
「今日会う約束だったけど、時間も場所も決めてなかったでしょ。
だからここで待ってたの。今日の予定は決まっちゃった?
すごくいい観光スポットがあるから一緒に行って案内したいなって思ってるんだ。」
なるほど。逃げられないように・・・出入り口で張ってたって訳?
まだ相手を信用してないのでなんでも疑ってしまう。
嫌な人間だなぁ・・・と思うがしょうがない。
自分の身は自分で守らなくては。
とりあえず、買い物もするよていだったので
私一人だけで勝手に決められないから昼過ぎくらいにまたね~
と言って部屋に戻った。
早速相方に報告。
一部始終を話し合った結果・・・
・とりあえず、観光スポットを案内してもらえるなら会って話して決めよう。
・午前中は水着を買ってプールでのんびりしよう。
・朝市で買ったお菓子はお腹を壊すので写真に収めるだけにしよう。
と言う事になった。
水着を買いに町へ出ると、クタビーチがすぐ近くにあるということで
お店がたくさんある。
しかも安い!(日本に比べて。)
しかも種類がたっくさんある。(デザインも新しいものばかり)
優柔不断の私たちは水着を選ぶのだけで2時間ほどかかり、ようやくホテルに戻ると
またもや出入り口に見慣れた顔が二つ・・・
「あ・・・。キキ。マリク。」
そういえば時間はお昼少し前を指している。
二人が言うには、
誰が来ても感動するガイドブックには必ず載っているお勧めスポットがあると言う。
ここから少し離れているので車をお父さんから借りてくるので一緒に行こうと。
時間は3時頃から行くのがいいのだという。
私たちがどうしようか悩んでいると、とどめの一言が来た。
「僕たちは、ただバリの善さを知ってもらいたいんだ。日本人とお友達になりたいだけ。
信じて!本当に感動するすごく素敵なところだから。」
そんな誠実そうな顔をしてこんなことを言われてはこちらとしては
信じるしかない。
「わかった。じゃぁ3時にホテルの前で。」
返事を聞くと二人はにっこりと笑って、
「よかった!じゃぁ3時に迎えに来るね!」と言い、車を借りるために
いったん帰っていった。
異国を味わうポイント 5
人を簡単に信用してはいけない。
特にアジア圏、日本語を勉強しているという人は
お酒を飲ませたりして身ぐるみはいで行くという犯罪グループの
被害例も数多くあります。
そんな人ばかりではありませんが男性一人だけ、女性一人だけの旅行のときは
特に注意。
私たちの仕事は旅行業務。
その中でも添乗員と言う毎日何十人もの人と接する仕事をしている。
その為人を見る目は嫌でも養われていく。
見る目は確かだ。
その、変な自信を持っている私から見た彼らは、「怪しいけど悪人ではない」と分類された。
午後3時。約束どうり4人で出発。
車は快適なスピードで進む。
初めは知らないところに連れて行かれる・・・大丈夫だろうか。
と目を凝らして景色を覚えようとしていたが、
そんなことは到底無理。
相方は居眠りまでしている・・・・
あきらめてこの人たちを信じるしかない。
車は1時間ほど走り、着いた先は
ウルワトゥ寺院
絶壁に建つこの寺院。格式の高い寺院で、バリ6大寺院のひとつに数えられる。
人気スポットらしく、周りには観光客も集まっていた。
私たちはその場所を生で感じ、感動した。
ちょうど夕暮れ時に来たので、
少し離れてみると寺院が夕暮れの太陽に照らされて浮き出ているように姿を現している。
断崖にそびえている為、海と空、建物が南国を代表して移されているポスターのように見える。
遊歩道には猿も数多くいて、訪れるだけでも楽しい。
そろそろ陽も落ちて周りは暗くなってきた。
電灯などほとんどないその場所はみるみる暗闇に包まれていく。
寺院も夜に溶け込んでまるで見えない。
・・・なのにおかしい。
どんどん新しく車が集まってくるのだ。
・・・何か始まるらしい。
私たちは円形競技場のような場所へ移動した。
丸い広場を囲むように木製のいすが並べられている。
キキが言うにはこれからダンスが始まるのだという。
暗闇に松明で照らされた舞台に始まったダンスは衝撃的だった。
その名は ケチャダンス

(楽器を使わず人の声で音楽を作り出し、ダンサーの手や体で水、日、風などのパワーを表現している。
チャッチャッと言う声が次第に高まりを見せていくダイナミックで野性的な芸能だ。)
その迫力と驚きにすっかりケチャダンスを堪能した私たち。
感動を胸に、その場を後にした。
私たちはバリのすばらしい寺院と芸能を楽しみ、
明日はキキの働いているマリンスポーツショップで遊ぶことを約束した。
二人に対する警戒心がゼロとは言わないが
だいぶ薄れてきたのだ。
・・・感動させられたからではない。
私たちに何の見返りもなくよくしてくれるのではなく、
私たちを案内することによって
自分たちのおこずかいをかせいていることがわかったからだ。
裏を説明すると・・・
寺院もダンスも有料である。
私たちも支払った。
それはガイドブックにも書いてあるし、全員が払うものだ。
ただ、お客を連れてきてくれた案内人は、その人数によってマージンをもらえる。
ということだ。
私たちは普段添乗員。
お客を連れて行く、チケットを用意する、支払いの手続きをする。
いつも仕事でしていることを、彼らはしているだけなのだ。
なぜわかったかと言うと、
マージンをもらいにいくタイミング、雰囲気が
同業と言う事で伝わってしまった為だ。
このことで私たちは彼らにも私たちを案内したい理由があるのだという訳を知り
安心した。
マージンもらうんだったらその分私たちも客として楽しまなくちゃ。
となったのだ。
明日もマリンスポーツをするといくらか彼らにはいるのだろう。
2人をバリのプロとして頼りにすることとなった。
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